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       題しらず 読人知らず  
532   
   沖へにも  よらぬ玉藻の  浪の上に  乱れてのみや  恋ひ渡りなむ
          
     
  • 沖へ ・・・ 沖と岸辺 (沖辺)
  • 玉藻 ・・・ 藻の美称
  
沖にも岸辺へも寄らない海草が波の上でただ乱れて漂っているように、どうにもできずに、ただ思い乱れて恋つづけるのか、という歌。 "沖へ" は、「沖の方」というの場合もあり、この歌の場合どちらともとれる。 「玉藻」という言葉を使った歌には他に、565番の「川の瀬に なびく玉藻の み隠れて」というものと、916番の「難波潟 おふる玉藻を かりそめの」というものがある。

  また、同じ "恋ひ渡りなむ" で結んでいる歌に、732番の「同じ人にや 恋ひ渡りなむ」という歌がある。どちらも疑問の助詞「や」が前にあって、「恋つづけるのだろうか、きっとそうだろう」というニュアンスを表している。 「恋ひ渡る」という表現を使った歌の一覧は 180番の歌のページを参照。 また、「のみや」という言葉を使った歌の一覧は 55番の歌のページを参照。

 
( 2001/10/18 )   
(改 2004/03/09 )   
 
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