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       題しらず 凡河内躬恒  
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   我が恋は  ゆくへも知らず  はてもなし  あふをかぎりと  思ふばかりぞ
          
        この恋は、どこへ向かうともわからず、その果てもわからない、ただ、逢うことを終着点と信じるばがりだ、という歌。

  488番の読人知らずの歌に「我が恋は むなしき空に 満ちぬらし」という歌があり、その前半の調べだけではなく、「行く方もなし」/ "ゆくへも知らず" と言葉遣いもよく似ている。 「ゆくへ」という言葉を使った歌の一覧は 80番の歌のページを参照。

  "あふをかぎりと  思ふばかりぞ" という 「かぎり」と 「ばかり」の合わせ方がよいリズムを生み出している。「かぎり」とは「限界・極み」ということで、それを使った歌の一覧は 187番の歌のページを参照。また、他に 「〜ばかりぞ」という言い回しを使っている歌としては、226番の遍照の「名にめでて 折れるばかりぞ 女郎花」という歌と、607番の友則の「ことにいでて 言はぬばかりぞ みなせ川」という歌がある。

 
( 2001/10/16 )   
(改 2004/02/24 )   
 
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