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       題しらず 平貞文  
666   
   白川の  知らずともいはじ  底清み  流れて世よに  すまむと思へば
          
     
  • 世よ ・・・ ずっと (世々に)
  
人に問われてももう知らないとは言いません、気持ちにやましい所はなく、ずっとあなたと住みたいと思っているのですから、という歌。白川は現在の京都府京都市左京区北白川琵琶町の北白川温泉を経由して、左京区岡崎法勝寺町にある京都市動物園あたりを通り、最後は鴨川に続く白川のこと。

   「白川−知らず」「流れて−永らえて」「澄む−住む」と掛詞を重ねている。 「流れて」は 573番の「世とともに 流れてぞ行く 涙川」という貫之の歌などでは、「泣かる」が掛けられているが、この貞文の歌では 「よよと泣く」ということが掛けられているかどうかは微妙なところである。 "底清み" の「み」は理由を表す。似たようなかたちの歌の一覧は 50番の歌のページを参照。また、「清し」という言葉を使った歌の一覧については 925番の歌のページを参照。

  この歌は恋歌三にあるが、水関係で 「白−知らない」という掛詞を使っている歌としては、恋歌一に次の読人知らずの歌がある。

 
533   
   葦鴨の  騒ぐ入江の  白浪の    知らずや 人を  かく恋ひむとは
     

( 2001/10/25 )   
(改 2004/03/12 )   
 
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