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       題しらず 紀友則  
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   雲もなく  なぎたる朝の  我なれや  いとはれてのみ  世をばへぬらむ
          
     
  • なぎたる ・・・ 穏やかな (凪ぐ)
  • いとはれて ・・・ 嫌われて
  
この身は、雲もなく凪いだ朝のようなものか、ただ嫌われて世を過ごすのか、という歌。

  「厭はれて−いと晴れて(=とても晴れて)」の駄洒落一発の歌だが、前半の穏やかさと後半の恨み言の落差が面白い歌である。 「世」は 「夜」につながり、 "朝" と対しているが、これは隠し味と見て意味的には含めずに見た方が "へぬらむ" という感じが生きるような気がする。 「経(ふ)」という言葉を使った歌の一覧については 596番の歌のページを参照。

  「いとはれる」という言葉を使って、この歌と似た言葉の感じを持つ歌としては、1045番の読人知らずの歌に「いとはるる 我が身は春の 駒なれや」というものがある。 「いと−晴れて」という面から見た時の、「いと」という言葉が使われている歌の一覧は 209番の歌のページを参照。

  「〜なれや」という言葉を使った歌の一覧は 225番の歌のページを参照。

 
( 2001/10/15 )   
(改 2004/03/09 )   
 
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