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       題しらず 読人知らず  
883   
   あかずして  月の隠るる  山もとは  あなたおもてぞ  恋しかりける
          
     
  • 山もと ・・・ 山のふもと
  • あなた ・・・ 向こう側
  
まだ月が沈む時刻でもなく十分に月を堪能していないのに、山に隠れて月が見えなくなってしまう、そんな山のふもとにいると、障害物のない山の向こう側の斜面が恋しく思われる、という歌。

  月が恋しいと言わずに、"あなたおもてぞ  恋しかりける" と言っている所がこの歌の趣向であろう。賀茂真淵は「古今和歌集打聴」の中で、この歌を 877番の歌と比較して、「
是は又山の西のあなたを思ひやるにて上の遅く出る月にも有哉を打反(カヘ)したる心」と述べている。 「恋しかりける」という表現を使った歌の一覧は 991番の歌のページを参照。

   「あかずして」という言葉を使った歌については 396番の歌のページを、「あなた」という言葉を使った歌の一覧は 379番の歌のページを参照。

 
( 2001/10/04 )   
(改 2004/02/11 )   
 
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