友の東へまかりける時によめる | 良岑秀崇 | |||
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白雲のこちらとあちらに別れてしまう、心を幣のようにくだくように別れのつらい旅である、という歌で、菅原道真の 420番の「このたびは ぬさもとりあへず たむけ山」という羇旅歌を思い出させるが一つ前の 378番の深養父の歌の後に読むと、非常に面白い歌に見える。 同じ 「立ち別れ」という言葉を使った 370番の紀利貞の歌が、「旅に発つ」に掛けるために 「春霞」を持ってきたように、この歌でも 「立つもの」として "白雲" が使われている。これは 371番の貫之の歌の「白雲の たちなむのちは なに心地せむ」や次の読人知らずの哀傷歌にも例が見られる。 |
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「白雲」を使った歌の一覧は 30番の歌のページを、「ぬさ」という言葉を使った歌の一覧は 298番の歌のページを参照。 「こなたかなた」という言葉は、「あちこちに/方々に」という意味もあるが、この歌では二方向を指し、自分がこちら、別れてゆく友があちら、という感じで、その点、次の読人知らずの恋歌が、二本の片糸(=縒り合わせる前の細い糸)を自分と相手に譬えているのと同じ感覚と見てよいだろう。 |
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「こなた(/かなた)/あなた」という言葉を使った歌をまとめてみると次の通り。 |
[こなた(かなた)] | ||||||||||||||||||||
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[あなた] | ||||||||||||||||||||
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また、"ぬき" とは緯度・経度の「緯」にあたるもので、314番の読人知らずの歌に「時雨の雨を たてぬきにして」とある他、秋歌として次の藤原関雄の歌でも使われている。 |
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( 2001/11/27 ) (改 2004/02/06 ) |
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