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古今和歌集の部屋
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巻十七
題しらず
読人知らず
893
かぞふれば とまらぬものを 年といひて 今年はいたく 老いぞしにける
いたく ・・・ ひどく
数えても止まらないものを「年」と言うが、本当に今年はひどく老いた感じがする
、という歌。
898番
の「とどめあへず むべも年とは いはれけり」という歌などと同じで、「年」に 「疾し」(とし:=早いこと)を掛けていることはわかるが、 "かぞふれば とまらぬ" という部分がわかりづらい。
一歳から自分の歳を指折り数えてみると今の歳になるまでかなりかかる、ということを 「止まらぬ」と表現しているものか。そして数え終わって見ると、ずいぶん早く過ぎたものだと思う一方で、こんなに歳が積もった結果の今年だと思うと、どっと疲れが押し寄せてくる、という感じか。
「いたく」という言葉を使った歌には次のようなものがある。
50番
桜花
いたく
なわびそ 我見はやさむ
読人知らず
196番
きりぎりす
いたく
な鳴きそ 秋の夜の
藤原忠房
260番
白露も
時雨も
いたく
もる山は
紀貫之
893番
今年は
いたく
老いぞしにける
読人知らず
( 2001/11/28 )
(改 2004/02/26 )
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