あひ知れりける人の住吉にまうでけるによみてつかはしける | 壬生忠岑 | |||
917 |
|
詞書は 「親しくしている人が住吉大社に詣でるというので詠んでおくった」歌ということ。 歌の意味は、「住みよい」と海人は言っても長居してはいけない、そこでは人を忘れる忘草が生えているというから、ということで、「住吉」と 「住み良し」を掛けている。軽い駄洒落の歌だが、一つ前の 916番の貫之の歌と雰囲気が似た口当たりの良い歌である。 「住吉(および住の江)」を詠った歌の一覧は 360番の歌のページを参照。また、「忘れ草」の歌の一覧については 801番の歌のページを参照。 また、住吉大社のすぐ東、現在の大阪府大阪市住吉区長居に 「長居」という地名があるが、これについて契沖は「古今余材抄」の中で「住よし長居うらとよめるは此歌によりて名付たる歟ふるき歌には見えぬにや」と述べていて、この歌から 「長居」という地名ができたものか、としている。一方、「古今和歌集全評釈(下)」 (1998 片桐洋一 講談社 ISBN4-06-208753-7) では、当時すでに 「長居」という地名があって、この忠岑の歌は、それを掛詞にしたとも考えられる、という説が述べられている。 |
( 2001/12/07 ) (改 2004/03/10 ) |
前歌 戻る 次歌 |