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       題しらず 源宗于  
801   
   忘れ草  枯れもやすると  つれもなき  人の心に  霜は置かなむ
          
     
  • 忘れ草 ・・・ ヤブカンゾウ。ユリ科の多年草。
  
忘れ草が枯れることもあるかと思うので、冷たいあの人の心に霜が下りて欲しい、という歌。

  笹や竹に置くといえば 「霜」、草に置くといえば 「露」というのが定番だが、ここでは 「忘れ草」と 
「霜」を組み合わせている。冷たい心がもっと冷たくなれば、逆に忘れ草まで枯れてしまうかも、という皮肉が込められているのであろう。 「つれもなき人」を詠った歌の一覧については 486番の歌のページを、「人の心」という言葉を使った歌の一覧については 651番の歌のページを参照。

  「忘れ草」を詠った歌には次のようなものがある。このうち同じ恋歌五の中で 765番 / 766番と、この歌と続く 802番の歌のペアが離されて置かれているところが少し気になる。

 
     
765番    忘れ草  種とらましを あふことの  読人知らず
766番    忘れ草  夢ぢにさへや おひしげるらむ  読人知らず
801番    忘れ草  枯れもやすると つれもなき  源宗于
802番    忘れ草  何をか種と 思ひしは  素性法師
917番    人忘れ草  おふと言ふなり  壬生忠岑


 
( 2001/11/21 )   
(改 2004/03/10 )   
 
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