題しらず | 清原深養父 | |||
1042 |
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あの時、自分に気があっただろう人のことを、こちらも共に思っておけばよかった、そうしなかったせいで、まさにこんな報いを受けたのだ、という歌。 "思ひけむ" の 「けむ」は過去の推量を表す助動詞「けむ」の連体形。 860番の「露をなど あだなるものと 思ひけむ」という藤原惟幹の歌でも使われている。 "思はまし" の 「まし」は反実仮想の助動詞で、その 「まし」が使われている歌の一覧は 46番の歌のページを参照。 "なかりけりやは" の 「やは」は反語を表し、「なかっただろうか、いやあったのだ」ということで、そこに "まさしや" が加わって非常に強い肯定となり、後悔の気持ちを表している。 「やは」を使った歌の一覧は 106番の歌のページを参照。一つ前の1041番の読人知らずの歌とよく似ているが、この歌の "むくい" は、自分の今の孤独な状態を指していると思われる。 |
( 2001/11/19 ) (改 2004/03/10 ) |
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