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       題しらず 読人知らず  
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   いでてゆかむ  人をとどめむ  よしなきに  となりの方に  鼻もひぬかな
          
     
  • よしなき ・・・ 手だてがない
  • 鼻もひぬ ・・・ くしゃみもしない (鼻ひぬ)
  
出て行こうとする人を止めるすべがない、隣近所で、くしゃみでもしないかな、という歌。

  くしゃみをする、というのは 「何かの前兆」ということで、ここでは、近所でくしゃみの音が聞こえれば、不吉だと思って帰ってきてくれるかもしれない、ということを表している。ただ、この 「前兆」は、よいことの前兆とみなされることもあり、万葉集には次の巻十一2408のような歌などがある。

    眉根(まよね)掻き 鼻ひ紐解け 待つらむか いつかも見むと 思へる吾れを

 "鼻もひぬかな" は、「鼻(も)ひ+ぬ+かな」で、上一段活用の 「はなひる」の未然形+打消しの助動詞「ず」の連体形+詠嘆の終助詞「かな」である。 「ぬかな」と使われている例としては、426番の読人知らずの物名の歌に「つねなるべくも 見えぬかな」というものがある。

  また、「よし(由)」という言葉を使った歌の一覧については 347番の歌のページを、 「方」という言葉を使った歌の一覧は 201番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/22 )   
(改 2004/03/09 )   
 
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