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       とりもののうた 読人知らず  
1078   
   陸奥の  安達の真弓  我が引かば  末さへよりこ  しのびしのびに
          
     
  • 真弓 ・・・ マユミの木で作った弓
  
安達の真弓を自分が引いたならば弓の先端が我が身に寄るように、人知れずやって来て欲しい、という歌。 「弓」用の 「採物」の歌である。 「採物」については 1074番の歌のページを参照。

 "安達"は現在の福島県の猪苗代湖の北東、安達郡のあたり。 「弓」を使った歌の一覧は 20番の歌のページを参照。 "よりこ" の 「こ」は 「来(く)」の命令形で、次の読人知らずの歌の 「こてふににたり」の 「こ」と同じである。

 
692   
   月夜よし  夜よしと人に つげやらば  こてふににたり   待たずしもあらず
     
        この歌の "しのびしのびに" という語感は非常に俗っぽい感じで、610番の春道列樹の「梓弓 ひけば本末 我が方に」という歌は、これを元にしたものとも考えられる。 「しのぶ」という言葉を使った歌の一覧は 505番の歌のページを、「さへ」を使った歌の一覧は 122番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/19 )   
(改 2008/11/04 )   
 
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