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       かひうた 読人知らず  
1098   
   甲斐がねを  ねこし山こし  吹く風を  人にもがもや  ことづてやらむ
          
     
  • 甲斐がね ・・・ 甲斐の山 (甲斐が嶺)
  • ねこし山こし ・・・ 嶺を越し、山を越し
  
甲斐の山々を越して吹く風が人であれば、言伝を頼むのに、という歌。言葉は 「嶺越し山越し」「人にもがもや」と野暮ったく無骨な感じだが、歌の内容はやわらかい。

  "人にもがもや" は 「人に+もがも+や」であり、「もがも」は 「〜であったらよいのに」ということ。 
「もが+な」という言葉を使った歌の一覧は 54番の歌のページを参照。また、ここでの 「人にもがもや」は、906番や 1090番の読人知らずの歌で使われている 「人ならば」という表現と似ている。

  この歌の前には、次の 「かひうた」が置かれている。

 
1097   
   甲斐がねを   さやにも見しか  けけれなく  横ほりふせる  小夜の中山
     
        「吹く風」を詠った歌の一覧については 99番の歌のページを参照。

 
( 2001/10/30 )   
(改 2004/02/24 )   
 
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