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       やよひにうぐひすのこゑのひさしう聞こえざりけるをよめる 紀貫之  
128   
   鳴きとむる  花しなければ  うぐひすも  はてはものうく  なりぬべらなり
          
        あれだけ鳴いていたウグイスの声ももう聞こえない、鳴いて止める花もなくなったので、ついに面倒になったようだ、という歌。

  107番の春澄洽子の歌や 108番の藤原後蔭の歌で詠われていた 「花の散ることを嘆くウグイス」をもう一度掬い上げるような感じで、集としての歌の配列の効果が出ている。貫之の歌としては理屈っぽくなく軽妙であるが、実は 428番の物名の歌(これも貫之のもの)と歌の内容も雰囲気も非常に似ている。そう考えると、貫之自身が付けたのかどうかはわからないが、この歌の詞書がわざとらしい感じがしないでもなく、微笑ましい。

  また、似たような音の言葉の出だしを持つ歌に次の読人知らずの歌がある。

 
897   
   とりとむる   ものにしあらねば  年月を  あはれあなうと   すぐしつるかな
     
        「べらなり」という言葉を使った歌の一覧については 23番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/14 )   
(改 2004/02/06 )   
 
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