大和の国にまかりける時、佐保山に霧の立てりけるを見てよめる | 紀友則 | |||
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詞書にある 「佐保山」は現在の奈良県奈良市法蓮町(ほうれんちょう)のあたりの丘陵。その南に佐保川がある。歌の意味は、誰かのための大切な錦があるということで、秋霧はこのように立ち渡り、佐保の山辺を隠しているのだろうか、ということ。 「秋」と 「錦」で紅葉を表している他は特に目を引くものはないが、安定した詠み振りの歌である。佐保山の紅葉と言えば、古今和歌集では次の読人知らずの歌にあるように 「ははそ」(ナラあるいはカシワの木)の紅葉を指している。 |
266 |
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春歌では次の読人知らずの歌をはじめ、春霞が花(桜)を隠すということが詠まれており、それに対して、この歌や上記の 266番の歌では秋霧が紅葉を隠すという趣向になっている。 |
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「春霞」と 「秋霧」を詠った歌の一覧は 210番の歌のページを参照。 「立ち隠す」という言葉を使った歌の一覧は 1038番の歌のページを参照。また、「誰のための〜なのか」という歌としては、雑歌上にある次の承均法師(そうくほうし)の歌が連想される。 |
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「錦」を詠った歌の一覧については 296番の歌のページを参照。 |
( 2001/09/06 ) (改 2004/03/07 ) |
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