寛平の御時きさいの宮の歌合せのうた | 藤原興風 | |||
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白波に頼りなく浮かんでいる秋の木の葉を、海人が誤って流してしまった小舟かと思う、という歌である。現存する「寛平御時后宮歌合」では「浮かべるは」となっている。 言っていることはわかりやすいが、意図はわかりづらい歌である。「古今和歌集全評釈(上)」 (1998 片桐洋一 講談社 ISBN4-06-205979-7)では、この歌は州浜(=歌の題にするための模型)に即して作られた歌ではないかと推測されている。 「浮かべるー流せる」の対はきれいだが、この歌の遠近感の喪失、大小の識別の麻痺は、どうも居心地の悪さを感じさせる。恐らく 「枝から離れた木の葉−艫綱(ともづな)がはずれた無人の舟」という見立てで、それが浪に漂う様子に秋の寂寥感を感じるということを言いたいのだろう。 古今和歌集の中で 「とぞ見る」で終わっている歌には次のようなものがある。 |
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( 2001/12/06 ) (改 2003/11/17 ) |
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