巻二 |
0101 |
咲く花は ちぐさながらに あだなれど 誰かは春を うらみはてたる |
春歌下 |
巻二 |
0102 |
春霞 色のちぐさに 見えつるは たなびく山の 花のかげかも |
春歌下 |
巻二 |
0131 |
声絶えず 鳴けやうぐひす ひととせに ふたたびとだに 来べき春かは |
春歌下 |
巻四 |
0178 |
契りけむ 心ぞつらき 七夕の 年にひとたび あふはあふかは |
秋歌上 |
巻五 |
0301 |
白浪に 秋の木の葉の 浮かべるを 海人の流せる 舟かとぞ見る |
秋歌下 |
巻五 |
0310 |
み山より 落ちくる水の 色見てぞ 秋はかぎりと 思ひ知りぬる |
秋歌下 |
巻六 |
0326 |
浦近く 降りくる雪は 白浪の 末の松山 越すかとぞ見る |
冬歌 |
巻七 |
0351 |
いたづらに すぐす月日は 思ほえで 花見てくらす 春ぞ少なき |
賀歌 |
巻十二 |
0567 |
君恋ふる 涙の床に 満ちぬれば みをつくしとぞ 我はなりぬる |
恋歌二 |
巻十二 |
0568 |
死ぬる命 生きもやすると こころみに 玉の緒ばかり あはむと言はなむ |
恋歌二 |
巻十二 |
0569 |
わびぬれば しひて忘れむと 思へども 夢と言ふものぞ 人だのめなる |
恋歌二 |
巻十四 |
0745 |
あふまでの 形見とてこそ とどめけめ 涙に浮ぶ 藻屑なりけり |
恋歌四 |
巻十五 |
0814 |
うらみても 泣きても言はむ 方ぞなき 鏡に見ゆる 影ならずして |
恋歌五 |
巻十七 |
0909 |
誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに |
雑歌上 |
巻十九 |
1031 |
春霞 たなびく野辺の 若菜にも なりみてしかな 人もつむやと |
雑体 |
巻十九 |
1053 |
何かその 名の立つことの 惜しからむ 知りて惑ふは 我ひとりかは |
雑体 |
巻十九 |
1064 |
身は捨てつ 心をだにも はふらさじ つひにはいかが なると知るべく |
雑体 |