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       題しらず 紀貫之  
482   
   あふことは  雲ゐはるかに  なる神の  音に聞きつつ  恋ひ渡るかな
          
     
  • 雲ゐ ・・・ 雲の遠く
  • なる神 ・・・ 雷
  
逢って愛し合うことは雲の彼方を目指すようなものだが、遠い雷が聞こえるようなあなたの噂を聞いては恋しく思いつづけることです、という歌。 "音に聞きつつ" という言葉は 473番の在原元方の「音羽山 音に聞きつつ あふ坂の」という歌にも出てきている。

  また、この歌に続いて「あはずはなにを 玉の緒にせむ」という 483番の読人知らずの歌が置かれていて、「逢いたい」という気持ちがさらに高められているが、これが恋歌四になると、噂に聞くだけで逢わなければよかった、という次のような読人知らずの歌に変ってゆくと見ても面白い。

 
678   
   あひ見ずは   恋しきことも  なからまし  音にぞ人を    聞くべかりける  
     
        「音に聞く」という表現を持った歌の一覧については 470番の歌のページを、「恋ひ渡る」という表現を使った歌の一覧は 180番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/19 )   
(改 2004/03/09 )   
 
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