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「音に聞く」というのは「噂に聞く」ということで、その「音」を "音羽山" から導き、「逢う」を "あふ坂の関" に掛けている。 "あふ坂の関" のこちら側にいるということは、まだ逢えずにいるということで、歌の意味は、噂に聞きつづけて逢えない状態のまま、年月が過ぎてゆくことだ、ということ。
"あふ坂の関" は、山城と近江の間の逢坂山にあった関所で、 "音羽山" はその南にある。いずれも京から見て東方、琵琶湖の南部である。 "あふ坂の関" を越えると近江であることと、369番の紀利貞の「今日別れ 明日はあふみと 思へども」という歌を合わせて、その "こなた" にいるということは、まだ 「逢う身」でないとする解釈も、「古今和歌集全評釈 補訂版 」 (1987 竹岡正夫 右文書院 ISBN 4-8421-9605-X) などに見られる。 「あふ坂」を詠った歌の一覧は 374番の歌のページを参照。
「音羽」を音(おと)に合わせたものとしては、次の恋歌三の読人知らずの歌や、1003番の忠岑の長歌の「音羽の滝の 音に聞く」などがある。 「音に聞く」という表現を使った歌の一覧は 470番の歌のページを参照。
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