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- まさしき ・・・ 正しい
- あかず ・・・ 満足できずに
難波万雄(なにわのよろずを)については生没年および仔細不明。古今和歌集にはこの一首のみが採られている。 "あふ坂の関" は山城と近江の間の逢坂山にあった関所で現在の滋賀県大津市逢坂一丁目あたり。
逢坂の関がその名の通りのものならば、名残惜しく別れるこの人を留めるようにしてほしい、という歌。「あふ坂の名には心につくへからす関は人を留る物なれはまさしき関にてあらはの心なり」(契沖「古今余材抄」)のように 「あふ坂」には特に 「逢う」の掛詞を見ないという解釈が一般的である。また、「古今和歌集全評釈 補訂版 」 (1987 竹岡正夫 右文書院 ISBN 4-8421-9605-X) では、「逢坂の関が名ばかりで実際には関所の役目を果たしていなかったころの歌ではないか」と推測されている。
いずれにせよ、「関所で人を留めよ」というのは「古今和歌集遠鏡」での横井千秋の注に 「関にて人をとゞむるは常のことなるを。まさしきものならばなど。こと/\しくいふべきにあらず。」とあるように、あまりにも普通すぎるので、「この人は大切なものを持ち出そうとしていますよ」という感じの歌なのではないかと考えておく。
「あかず」という言葉を使った歌の一覧は 157番の歌のページを参照。他に、別れと 「あふ坂」を合わせたものとしては次の貫之の歌がある。
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