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       寛平の御時きさいの宮の歌合せのうた 紀友則  
561   
   宵の間も  はかなく見ゆる  夏虫に  惑ひまされる  恋もするかな
          
     
  • 宵の間 ・・・ 暗くなってから夜中までの時間
  
宵の間も、はかなく人が焚く火に惑わされ、その行く末も知らずに乱れ飛ぶ夏の虫にもまさるほど惑う恋をすることかな、という歌。 「恋もするかな」という言葉を使った歌の一覧は 490番の歌のページを参照。

   "宵の間も" の 「も」のニュアンスがわかりづらい。昼だけでなく夜も、という感じか。ちなみに現存する 「寛平御時后宮歌合」では、「宵の間」となっている。また、"はかなく見ゆる" というのも抽象的な物言いで意味がとりづらい。 「はかなし」という言葉を使った他の歌の一覧は 132番の歌のページを参照。 「夏虫」が出てくる歌としては、他に次の二つの歌がある。

 
544   
   夏虫の   身をいたづらに  なすことも  ひとつ思ひに  よりてなりけり
     
600   
   夏虫を   何か言ひけむ  心から  我も思ひに  もえぬべらなり
     
        この歌から五首、友則の歌が続く。それらのうち 564番の 「菊の垣根」の歌だけが、現存する 「寛平御時后宮歌合」に載っていない。

 
( 2001/11/15 )   
(改 2004/03/08 )   
 
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