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       題しらず 読人知らず  
759   
   山しろの  淀のわかごも  かりにだに  来ぬ人たのむ  我ぞはかなき
          
     
  • わかごも ・・・ 若い真菰 (マコモ:イネ科の植物)
  
仮にでさえ、来ることのない相手を頼みにするこの身がむなしい、という歌。 「刈り−仮」を出すために、山城の淀川に生える若いマコモを序詞として使っている。 「だに」という言葉を使った歌の一覧については 48番の歌のページを参照。

  マコモの葉は編んだり敷いたりして敷物にしたり、粽(ちまき)を包む皮などにも用いられたという。また、マコモの実はイネより先に食用とされていたという話もあり、特に北米に生えるマコモの一種の実は今でもワイルド・ライス( wild rice )として食されている。さらに、677番の読人知らずの歌に「陸奥の 安積の沼の 花かつみ」の 「花かつみ」が花をつけたマコモであるという説もある。

  他にマコモが詠われている歌としては、次の読人知らずの歌と、貫之の歌がある。

 
485   
   かりこもの   思ひ乱れて  我が恋ふと  妹知るらめや  人しつげずは
     
587   
   まこも刈る   淀の沢水  雨降れば  常よりことに  まさる我が恋
     
        「たのむ」という言葉が使われている歌の一覧については 613番の歌のページを、 「はかなし」という言葉を使った歌の一覧については 132番の歌のページを参照。

 
( 2001/09/19 )   
(改 2004/02/10 )   
 
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