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       題しらず 読人知らず  
765   
   忘れ草  種とらましを  あふことの  いとかくかたき  ものと知りせば
          
     
  • 忘れ草 ・・・ ヤブカンゾウ。ユリ科の多年草。
  
人のことを忘れるという忘れ草の種を採っておけばよかった、逢うことがこんなにも難しいと前からわかっていたならば、という歌。

  少し前までは自分に "忘れ草" が必要だとも、逢う回数がこれほど少なくなるとは思ってもいなかった、という気持ちを込めていて、 "いとかくかたき" という言葉が効いている。 「いと」という言葉が使われている歌の一覧は 209番の歌のページを参照。 「〜ましを」という言葉を使った歌の一覧は 236番の歌のページを参照。

  「忘れ草の種」ということでは、同じ恋歌五に次の素性法師の歌がある。 「忘れ草」の歌の一覧については 801番の歌のページを参照。

 
802   
   忘れ草    何をか種と   思ひしは  つれなき人の  心なりけり
     
        「あふこと」が 「かたし」という表現は次のような歌に見られる。

 
     
231番    秋ならで あふことかたき  女郎花  藤原定方
665番    みつ潮の 流れひるまを  あひがたみ  清原深養父
765番    あふことの いとかくかたき  ものと知りせば  読人知らず
767番    夢にだに あふことかたく  なりゆくは  読人知らず
1001番    もえつつとはに 思へども  あふことかたし  読人知らず


 
( 2001/10/02 )   
(改 2004/03/09 )   
 
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