Top  > 古今和歌集の部屋  > 巻十八

       題しらず 読人知らず  
988   
   あふ坂の  嵐の風は  寒けれど  ゆくへ知らねば  わびつつぞ寝る
          
     
  • わびつつ ・・・ 寂しい思いをして
   
逢坂山の嵐の風は冷たいが、行き先が決まっているわけでもない自分は、ひとり寂しい思いをして寝る、という歌。同じ 「わび寝」を詠った歌でも恋歌五にある 775番の読人知らずの歌は、月夜だと来ない人を待ってしまうから、雲って雨さえ降ってほしい、そうすれば 「わびつつ寝む」と言っているのでわかりやすいが、それと比べるとこの歌は漠然としていて少しわかりづらい。

  無理に 「あふ坂」を 「逢う」に掛けて恋歌のように解釈することもできないことはないが、古今和歌集の配列で見ると、この歌は漂泊の歌としてとらえられているようである。この歌の直後には 989番の「ありかさだめぬ 塵の身は ゆくへも知らず」という歌があり、前には次のような歌がある。

 
987   
   世の中は  いづれかさして  我がならむ  行きとまるをぞ    宿とさだむる  
     
        「あふ坂」を詠った歌の一覧は 374番の歌のページを、「嵐/山風」を詠った歌の一覧は 394番の歌のページを参照。また、「ゆくへ」という言葉を使った歌の一覧は 80番の歌のページを、「わぶ」を使った歌の一覧は 937番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/27 )   
(改 2004/03/11 )   
 
前歌    戻る    次歌