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       題しらず 読人知らず  
1040   
   我をのみ  思ふと言はば  あるべきを  いでや心は  おほぬさにして
          
     
  • いでや ・・・ まったく、もう (感動詞)
  • おほぬさ ・・・ 祓えの時に使われる大きな串についた幣 (大幣)
  
私だけを思うと言ってくれるのならば、落ち着いていられるのでしょうが、まったく、あなたの心は 
「大幣」のようで、引かれればすぐにそちらに靡いてしまうのですから
、という歌。誘惑に負けやすいあなたは信用できません、ということであろう。

  706番の「おほぬさの ひくてあまたに なりぬれば」という歌や、709番の「玉かづら はふ木あまたに なりぬれば」という歌が連想される。 「おほぬさ」を使った歌の一覧は、その 706番の歌のページを参照。また、誹諧歌としては、「心は大幣」という言い方は、1037番の「なぞ世の中の 玉だすきなる」という歌を思い出させる。

  "あるべきを" の 「ある」は、人が 「元気でいる・無事でいる」ということで、914番の藤原忠房の歌の「尋ねくればぞ ありとだに聞く」、411番の業平の歌の「ありやなしやと」と同じ。 "いでや" は、「いで+や」で、この 「いで」という言葉を使った歌の一覧は 508番の歌のページを参照。

 
( 2001/11/22 )   
(改 2004/02/18 )   
 
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