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       春のうたとてよめる 素性法師  
126   
   おもふどち  春の山辺に  うちむれて  そことも言はぬ  旅寝してしか
          
     
  • おもふどち ・・・ 気の合った者たち
  
気の合った仲間同士で春の山辺に群れ遊んで、どことも宿を決めず、旅寝をしてみたい、という自由気ままな春の逍遥を願う歌である。 "そことも言はぬ  旅寝してしか" という後半で、宿の心配もせず、日帰りのように時間も気にせず、という気持ちを表している。 "おもふどち" という言葉をこの歌と同じような意味に使った歌としては、次の読人知らずの歌がある。

 
864   
   おもふどち   まとゐせる夜は  唐錦  たたまく惜しき  ものにぞありける
     
        また、次の読人知らずの恋歌にも "おもふどち" が使われているが、この場合は 「思い合う同士」という男女二人の関係を指していると考えられる。

 
654   
   おもふどち   ひとりひとりが  恋ひ死なば  誰によそへて  藤衣着む
     
        "旅寝してしか" の 「しか」は願望を表す終助詞で、それが使われている歌の一覧は 1097番の歌のページを参照。 "うちむれて" のような接頭語「うち」が使われている歌の一覧については 12番の歌のページを参照。

 
( 2001/10/23 )   
(改 2004/01/21 )   
 
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