朱雀院の女郎花あはせによみてたてまつりける | 凡河内躬恒 | |||
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妻を求める鹿が鳴くが、あの鹿はオミナエシが自分の住む野の花であると知らないのか、という歌。花と鹿を合わせる場合、218番の敏行の歌のように「萩」であるのが一般的だが、ここでは 「女郎花あはせ」であるので「女郎花−女−妻恋」としてオミナエシに鹿を合わせている。よりシンプルに 「女郎花」に男を合わせたものとしては、次の布留今道の歌がある。 |
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また、この歌では三句目の "女郎花" という言葉の差し込み方が特徴的である。全体の基調としては妻を求める鹿の声が主役だが、実際にスポットライトに照らされているのは、振り向いてもらえないオミナエシの方である。萩には寄り添う鹿も、と考えてもよいかもしれない。気持ちとしては237番の兼覧王の「荒れたる宿に ひとり立てれば」という歌に通じるものがあるように見え、ドライな見方をする躬恒らしい歌であると言える。 「鹿」を詠った歌の一覧は 214番の歌のページを、「鳴くなる」という言葉を使った歌の一覧は 1071番の歌のページを参照。 |
( 2001/07/12 ) (改 2004/03/12 ) |
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