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露があるままでも、折ってこの菊の花を頭に挿して飾ろう、老いることない秋がずっと続くように、という歌で、菊の露により長寿を得るという中国の故事を元にしている。
菊の露を身につけるということでは、273番に素性の「濡れてほす 山路の菊の 露の間に」という歌があり、菊をかざすということでは、276番に貫之の「秋の菊 匂ふかぎりは かざしてむ」という歌がある。それらと並べて見た場合、この歌では長寿を "老いせぬ秋" と表現しているところに特徴がある。それが 「久しくある」というのは、秋という期間に限ったことではなく、菊が秋のものであるのでそう言ったまでで、ニュアンス的には 「老いせぬ時」と同じことであろう。少し飛躍するが、いつまでも若々しく秋を迎えられるように、という感じにも読めないこともない。また、あえて "老い" という言葉を出すことによって、菊の露の新鮮さを際立たせる効果にもなっている。
"久しかるべく"は 「久しかる+べく」で 「久しかる」は 「久しく+ある」の短縮形で、それに助動詞「べし」の連用形が付いたもの。この 「〜かるべし」というかたちを持っている歌には次のようなものがある。ここでの 「久かるべし」は可能を表しているが、その他の歌では 「〜に違いないだろう」という確信のニュアンスを含めた推量を表すのに使われている。
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