かみやがは | 紀貫之 | |||
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歌の意味は、私の黒髪が変ったのだろうか、鏡に映るこの白雪は、ということ。どの歌の言葉を重く見るかにより、白髪を雪と見ているとも、雪を白髪と見ているともどちらともとれる。
"うばたまの" という言葉は 「烏羽玉の」でありカラスの羽の黒さを表す枕詞である。同じ物名の中の清原深養父の 「かはなぐさ」の歌にも使われており、そこでは 「闇夜」の連想から「夢」に掛けられている。 |
449 |
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"うばたまの" の原型は 「ぬばたまの(射干玉の)」であり、それは草の(黒い)実の名前からきていると言われるが、藤原定家の写本による古今和歌集ではその用例はないようである(「古今和歌集全評釈(中)」 (1998 片桐洋一 講談社 ISBN4-06-205980-0))。ただ 「うばたまの」ではなく 「むばたまの」という形が、526番、554番、647番、に見られる。 基本的に 「うばたまの」か 「むばたまの」かということは、梅を 「うめ」と書くか 「むめ」と書くかということと同じで単に表記上だけのことであろう。賀茂真淵「古今和歌集打聴」では、これら五つをすべて「ぬば玉」あるいは「ぬばたま」と 「ぬ」に統一した上で、449番の歌の頭注に 「むば玉うば玉ことによりてわかちあるといふはひがこと也」(ひがこと:=正しくないこと)と書かれている。 |
( 2001/09/26 ) (改 2003/12/15 ) |
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