かたの | 壬生忠岑 | |||
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「ゆくカタノなき」という部分に地名の 「かたの(交野)」が詠み込まれている。交野は、現在の大阪府枚方市・交野市のあたりで、天皇家の遊猟地であった。 418番の業平の 「狩して天の河原に至る」という歌の天野川もこのあたりを流れ、近くに淀川があることから、一つ前の 461番の貫之の 「よどがは」の歌に並べて置かれたものか。そこでの 「晴るる時なき」とこの歌の "行く方のなき" もペアになっているようにも見える。 歌の意味は、夏草が上に繁った沼水のように、どこにも向かいようのないこの心である、ということ。 "行く方のなき" というのは次の読人知らずの歌にも出てくる表現だが、現在でいう 「やるせない(遣る瀬ない)」というニュアンスもありそうである。 「ゆくへ(行方)」という言葉を使った歌の一覧については 80番の歌のページを、その他の 「方」の歌については 201番の歌のページを参照。 |
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また、似たような言葉遣いの歌に 538番の「浮草の 上はしげれる 淵なれや」という読人知らずの歌があり、「夏草」ということでは次の躬恒の歌がある。 |
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「しげる」という言葉を使った歌の一覧は 550番の歌のページを参照。 |
( 2001/11/28 ) (改 2004/02/25 ) |
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