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       題しらず 紀友則  
593   
   よひよひに  脱ぎて我が寝る  かり衣  かけて思はぬ  時の間もなし
          
     
  • よひよひ ・・・ 毎晩 (宵々)
  • かり衣 ・・・ 元は鷹狩りの時に付けた、動きやすい服装 (狩衣:かりぎぬ)
  
毎晩寝る時に脱いだ狩衣を掛けておくように、夜の間もずっとあなたに思いをかけている、という歌。 487番の読人知らずの歌の「ひと日も君を かけぬ日はなし」と同じような発想である。 「(思ひを)かく」という言葉の使われている歌の一覧については 483番の歌のページを参照。 "時の間" 
という言葉からは、548番の「光の間にも 我や忘るる」という読人知らずの歌も連想される。

  言葉の転がし方として "脱ぎて我が寝る かり衣" というのはリズムがあって面白く、次の躬恒の歌の感じにも似ている。

 
167   
   塵をだに  すゑじとぞ思ふ  咲きしより  妹と我が寝る    常夏の花  
     
        また、「衣をかける」ということを使った歌としては、狩衣と唐衣の違いはあるが、恋歌五に次の景式王(かげのりのおおきみ)の歌がある。

 
786   
   唐衣  なれば身にこそ  まつはれめ  かけてのみやは    恋ひむと思ひし  
     

( 2001/12/04 )   
(改 2004/01/22 )   
 
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