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       題しらず 読人知らず  
763   
   我が袖に  まだき時雨の  降りぬるは  君が心に  秋や来ぬらむ
          
     
  • まだき ・・・ 早くも
  
私の袖に早くも時雨が降ったのは、あなたの心に 「飽き」がきたからでしょうか、という歌で、「秋」に 「飽き」を掛けている代表的な例であると言える。シンプルな歌だが、相手と自分との距離感もまたうまく詠み込まれているように思える。

   253番の読人知らずの「神無月 時雨もいまだ 降らなくに」という秋歌と合わせて見たい。 「時雨」を詠った歌の一覧は 88番の歌のページを参照。

  「まだき」という言葉は次のような歌で使われている。

 
     
232番    なぞ色にいでて  まだきうつろふ  紀貫之
627番    あふことなきに  まだき立つらむ  読人知らず
629番    あやなくて  まだきなき名の 竜田川  御春有輔
763番    我が袖に  まだき時雨の 降りぬるは  読人知らず
884番    あかなくに  まだきも月の 隠るるか  在原業平


 
( 2001/12/10 )   
(改 2004/02/26 )   
 
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