題しらず | 読人知らず | |||
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「竜田川」と 「(紅葉の)錦」の組み合わせが秋を思わせるが、古今和歌集の配列で言えば、284番の歌で「神なびの みむろの山に 時雨降るらし」としていた時雨が今目前にある、というつながりである。どことなく 「雨と降るとも 水はまさらじ」という 305番の躬恒の歌も思い出される。 「竜田川−紅葉の錦」と 「神無月−時雨」が一つの歌の中で秋と冬を引っ張り合っているような感じもする。 ただ、「時雨」は次の読人知らずの恋歌では 「秋」を引き出すものとして使われているので、この綱引きはやや秋側が優勢か。 |
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またこの歌は 284番の「竜田川 もみぢ葉流る 神なびの」という歌とよく似ており、片方は秋歌下に、もう片方は冬歌の先頭に置かれているので、気になるところである。そこで、古今和歌集での「神無月/時雨/秋/紅葉」の関係をまとめてみると次のようになる。
「竜田川」の歌の一覧については 302番の歌のページを、「錦」を詠った歌の一覧については 296番の歌のページを参照。 |
( 2001/12/10 ) (改 2004/03/07 ) |
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