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       題しらず 読人知らず  
795   
   世の中の  人の心は  花染めの  うつろひやすき  色にぞありける
          
        世の中の人の気持ちというものは、花染めで染めたような、うつろいやすい色だったのだ、という歌。花で染めた物は色があせやすいということから詠まれたもので、素朴な譬えだが静かな調べが感じのよい歌である。

  723番の読人知らずの「紅の 初花染めの 色深く」という歌と対極のことを言っているようで、実際には同根であろう。自分は忘れないが人は気持ちが変わってゆく、ということである。 「心を染める/染めない」ということを詠っている他の歌としては、次のようなものがある。

 
729   
   色もなき  心を人に    染めしより   うつろはむとは  思ほえなくに
     
796   
   心こそ   うたてにくけれ  染めざらば   うつろふことも  惜しからましや
     
        「うつろふ」という言葉を使った歌の一覧については 45番の歌のページを、「〜にぞありける」という表現を使った歌の一覧は 204番の歌のページを参照。

  「世の中の人の心」というフレーズを使った歌には次のようなものがある。 「人の心」という言葉を使ったすべての歌の一覧については 651番の歌のページを参照。

 
     
795番    世の中の 人の心  花染めの  読人知らず
797番    世の中の 人の心  花にぞありける  小野小町
804番    世の中の 人の心  秋し憂ければ  紀貫之


 
( 2001/11/28 )   
(改 2004/03/10 )   
 
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