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空のかなたに住んでいるわけでもないのに、あの人は私のことを圏外の存在と思っているようだ、という歌。
「天つ空」に住むと譬えられているのが相手なのか作者なのかは微妙である。 「よそに思ふ」とは、自分に無関係なものと思うということ。 「雲か何かのように」という感じで見れば、「空」にいる(わけでもない)のは作者ということになるが、「天つ空」に行ってしまったわけでもないのに、と見れば相手だろうか。 「久方の」という枕詞を使った歌の一覧は 269番の歌のページを参照。
作者と見た方が自然のような気もするが、自分を 「天つ空」に引き上げているような感じが少し臭味となる。あるいは、お互いが広い 「天つ空」に住んでいるわけでもないのに、というようにも見えないこともない。 「よそ」という言葉を使った歌の一覧は 37番の歌のページを参照。 "すまなくに" の 「なくに」は、逆接(=住んでいるわけでもないのに)である。 「〜なくに」という言葉を使った歌の一覧については 19番の歌のページを参照。
また、この歌は 784番と 785番の在原業平−紀有常女の贈答歌を思い出させるところもあり、恋の終わりでの 「空」という言葉を使った歌としては、「秋風」を添えた、次のような友則の歌もある。
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