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詞書にある「深草(ふかくさ)のみかどの御国忌の日」とは仁明天皇の命日のこと。仁明天皇の崩御は 850年三月二十一日。現在の仁明天皇陵は、京都府京都市伏見区深草東伊達町にあるが、この歌で詠われている「谷」はもう少し北の伏見区深草真宗院山町あたりのことかと思われる。
歌の意味は、草深き霞の谷にお隠れになり、光り輝く日が暮れた、それが今日この日ではなかったか、ということ。 「クサフ(ブ)カキ カスミノタニニ カゲカクシ」と、歌の前半は「か」の音が多い。 「深草」から "草深き" とし、「霞−谷−影−日−暮れ」とつないで、 "暮れし" と過去形で一旦閉じて、 "今日にやはあらぬ" と結んでいる。 「にや〜ぬ」は反語で、まさに今日がその日ではなかったか、という意味。 「やは」を使った歌の一覧については 106番の歌のページを参照。
文屋康秀は仮名序・真名序でいわゆる六歌仙の一人として上げられているが、その生没年は不明。こうした歌の詞書から仁明天皇〜清和天皇の頃の人物と知られる。古今和歌集には、この歌以外に四首が採られ、その他 938番の小野小町の歌の詞書にもその名を残す。ただし、そのうち百人一首でも有名な次の「山+風=嵐」の歌は、子の文屋朝康の作としている写本(高野切など)もある。
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