秋立つ日よめる | 藤原敏行 | |||
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この歌は秋歌上のはじめの歌で、詞書にもあるように立秋の日の歌である。秋になった兆しは、まだ目に見えないが、鳴る風の音の中にその気配を感じて驚いた、ということ。シンプルで透明感のある歌である。 「風の音におどろく」という部分が抽象的でわかりづらいが、次の貫之の哀傷歌と合わせてみると、単なる風の音では 「おどろく」には弱く、風鐸(ふうたく:=お堂の軒などにぶらさげる鋳物の鈴)などの響きと見てもよいような気がする。 |
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また次の読人知らずの歌では、秋に鳴く鹿が 「目には見えない」けれど、その声が 「クリアに聞こえる」ということを詠っており、並べて見ると面白い。 |
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ちなみに 「清か」(=はっきりとしている)ということを詠った歌には次のようなものがある。 「清し」という言葉を使った歌の一覧については 925番の歌のページを参照。 |
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( 2001/12/10 ) (改 2004/03/12 ) |
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