寛平の御時きさいの宮の歌合せのうた | 素性法師 | |||
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「や」は疑問の助詞で、この歌の場合、"我のみや" は「自分ばかりでなく、他の誰もがいとおしく思うだろうが、とりあえずここには自分しかいない」という反語を表す。同じ "我のみや" ではじまる歌としては、798番に読人知らずの「我のみや 世をうぐひすと なきわびむ」という歌があるが、そちらは 「花と散りなば」と仮定で終わっているので、反語ではなくそのまま疑問を表わしているようである。 「のみや」という言葉を使った歌の一覧は 55番の歌のページを参照。また、「あはれ」という言葉を使った歌の一覧は 939番の歌のページを参照。 "鳴く夕影の" という言葉をはさんで 「きりぎりす」と 「大和撫子」が置かれている点がこの歌の特徴であり、「きりぎりすが−鳴く−夕影の−大和撫子」とスムーズに音とイメージをつないでいる。 「きりぎりす」を詠った歌には次のような歌がある。 |
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「まつ虫」の歌については 203番の歌のページを参照。 |
( 2001/11/21 ) (改 2004/03/07 ) |
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