寛平の御時きさいの宮の歌合せのうた | 藤原興風 | |||
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春霞のたなびく野辺の若菜にもなってみたいものだ、人が 「つんで」くれるかと、という歌。 「摘む−抓む(つむ:=つねる)」を掛けていおり、この 「つむ」は、「いづれの人か つまで見るべき」という 1017番の読人知らずのオミナエシの誹諧歌でも使われている。どこか 217番の「君がため 春の野にいでて 若菜つむ」という仁和帝(=光孝天皇)の歌のパロディのようでもある。 「春霞」を詠った歌の一覧は 210番の歌のページを参照。 「寛平の御時きさいの宮の歌合」ではこの興風の歌は、次の歌を左とした右方として春歌の歌群の中にある。 うぐひすは むべも鳴くらむ 花桜 咲くと見しまに うつろひにけり ちなみに、このウグイスの歌は読人知らずであり、歌の後半は 73番にある読人知らずの「花桜 咲くと見しまに かつ散りにけり」という歌とほとんど同じである。 "なりみてしかな" は 「なってみたいものだ」ということで、「古今和歌集全評釈 補訂版 」 (1987 竹岡正夫 右文書院 ISBN 4-8421-9605-X) を見ると、伝本の中では 「なりみてし哉」と書かれているものあるようだが、これは 「なりみてし+かな」ではなく 「なりみ+てしか+な」であろう。 「てしか」は願望の終助詞「しか」の前に完了の助動詞「つ」の連用形である 「て」がついたもの。 695番の「あな恋し 今も見てしか 山がつの」という歌でも使われている。そしてそれに終助詞「な」がついた 「てしかな」は 「てしがな」と同じ意味で、1026番の歌でも「山のくちなし えてしがな」というように使われている。この願望の終助詞「しか」を使った古今和歌集の歌の一覧は 1097番の歌のページを参照。 |
( 2001/12/06 ) (改 2009/08/12 ) |
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