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       題しらず 読人知らず  
254   
   ちはやぶる  神なび山の  もみぢ葉に  思ひはかけじ  うつろふものを
          
     
  • ちはやぶる ・・・ 神にかかる枕詞
  "神なび山" は一般的に「神の鎮座する山」ということであり、その場所は特定できない。 296番などでは「神なびの みむろの山」のようなかたちでも使われている。歌の意味は、
「神なび山」の紅葉に思いをかけるのはやめましょう、色が変わってしまうものだから、ということ。確かに心ひかれるものはあるし、実際には「うつろふ」ようにはなっていないけれど、というニュアンスである。一つ前の 253番の「かねてうつろふ 神なびのもり」と同じで、神がいるという名ではあるけれど、という含みも若干あるように感じられる。

  次の読人知らずの恋歌と並べて見ると面白い。 「(思ひを)かく」という言葉の使われている歌の一覧については 483番の歌のページを参照。

 
487   
   ちはやぶる   賀茂のやしろの  ゆふだすき  ひと日も君を  かけぬ日はなし  
     
        「ちはやぶる」という枕詞を使った歌の一覧は次の通り。

 
     
254番    ちはやぶる  神なび山の もみぢ葉に  読人知らず
262番    ちはやぶる  神のいがきに はふくずも  紀貫之
294番    ちはやぶる  神世もきかず 竜田川  在原業平
348番    ちはやぶる  神や切りけむ つくからに  僧正遍照
487番    ちはやぶる  賀茂のやしろの ゆふだすき  読人知らず
904番    ちはやぶる  宇治の橋守 なれをしぞ  読人知らず
1002番    ちはやぶる  神の御代より  紀貫之
1005番    ちはやぶる  神無月とや  凡河内躬恒
1100番    ちはやぶる  賀茂のやしろの 姫小松  藤原敏行


 
        また、「うつろふ」という言葉を使った歌の一覧については 45番の歌のページを参照。

 
( 2001/09/27 )   
(改 2004/02/02 )   
 
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