寛平の御時きさいの宮の歌合せのうた | 読人知らず | |||
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「思っている」という言葉だけが、秋という季節の中を過ぎても、色も変わらないものなのだろうか、という歌。 漠然としていて少しわかりづらいが、「のみ」で比較しているのは、他の秋になると色が変わる葉のことで、それらと同じ秋の中にあっても 「思ふ」という言の葉だけは変らないようだ、という歌である。ここでは疑問の助詞「や」には反語の意味はなく、「おや、これだけなのか」というニュアンスと見た方が自然であろう。 「のみや」という言葉を使った歌の一覧は 55番の歌のページを参照。 この歌での "思ふてふ" は、次の読人知らずの歌のように、相手が 「思っているよ」と言っていることとも考えられなくはないが、やはり自分が思うことを指していると思われる。その念が強いので 「秋」に耐えているという感じにも見える。 |
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"思ふてふ 言の葉のみや 秋をへて " という言い方は、940番の「あはれてふ 言の葉ごとに 置く露は」という読人知らずの歌を思い出させる。 「あはれ」という言葉を使った歌の一覧は 939番の歌のページを、「〜てふ」という表現を持った歌の一覧は 36番の歌のページを参照。 また、「言の葉」という言葉が使われている歌には次のようなものがある。 |
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"秋をへて" の「経(ふ)」という言葉が使われている歌の一覧は 596番の歌のページを参照。 |
( 2001/10/30 ) (改 2004/03/15 ) |
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